「その水、有料ですが?」あえて無料を要求する彼氏と、グラスが空になっても注ぎに来ない店員【作者に聞く】

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【漫画】水を頼んで何が悪い?
【漫画】水を頼んで何が悪い?■画像提供:ゐ(@irk_hrk)

特別な日のディナーや、少し背伸びをした高級レストラン。ドリンクメニューには当然のようにミネラルウォーターやスパークリングウォーターが並んでいる。そんなシチュエーションで、同席者が迷いなく「無料の水でいいです」とオーダーしたら、あなたはどう感じるだろうか?

水でいいです(2)
水でいいです(2)■画像提供:ゐ(@irk_hrk)

「ミネラルウォーターでいいですか」と聞かれているのにあえて「無料の水」を注文する男性
「ミネラルウォーターでいいですか」と聞かれているのにあえて「無料の水」を注文する男性■画像提供:ゐ(@irk_hrk)

さらに、パンや水は無料で提供されるものだと思っているようだが、女性は店側の無言の抗議だと思う
さらに、パンや水は無料で提供されるものだと思っているようだが、女性は店側の無言の抗議だと思う■画像提供:ゐ(@irk_hrk)


ゐ(@irk_hrk)さんが描いた漫画『水でいいです』は、まさにそんな一瞬の空気を切り取った作品だ。X(旧Twitter)で公開されるやいなや、7万5000いいね、1万4000リツイートを超え、900件以上のコメントが殺到するほどの大反響を呼んだ。

高級店で「無料の水」を頼む彼氏、注ぎに来ない店員


日本の飲食店では「お冷(水)」やセルフサービスのお茶が無料で提供されるのが一般的だ。しかし、コース料理を提供するような格式ある店では、飲み物をオーダーするのが暗黙の了解とされていることも多い。

漫画に登場する男性は、そんな空気をものともせず、あえて有料の水ではなく「無料の水」を指定する。店側もプロとしてそれに応じ、グラスウォーターを提供するのだが、そこから奇妙な攻防が始まる。

男性は「パンのおかわりも来ない」「水が空になっても注ぎに来ない」とサービスの悪さに不満を漏らす。しかし同席している女性は、それが単なる偶然ではなく、「ドリンクを頼まない客に対する店側の無言の抗議」ではないかと直感し、冷や汗をかくことになるのだ。

なんとか場を取り繕おうと、女性がドリンク注文を促しても男性には届かない。あろうことか彼は店員を呼びつけ、大きな声で「おかわりください!」と無料の水を再要求する。洗練されたレストランの空気の中、女性はただただ、いたたまれない思いをする羽目になった。

「野暮も突き通せば粋」?SNSで巻き起こったマナー論争


この作品が公開されると、読者の間では激しい議論が巻き起こった。「明確なマナー違反とは言えないまでも、スマートな振る舞いではない」「嗜む場としての礼儀に欠ける」といった批判的な意見がある一方で、「店側の視点や“無言の圧”という解釈が勉強になった」「こういう暗黙のルールを知る機会は貴重」といった、学びを得たという声も多数寄せられた。

作者のゐさんも、こうした反響について「多くの人に読んでもらえてうれしい」と語る。特にX(旧Twitter)のリプライや引用リポストには、自身の体験談や飲食店経営者からの視点、マナーに関する解説などが集まり、「私自身も読者のコメントから学ぶことが多かった」という。

また、本作がテレビ番組で紹介された際、落語家の立川志らくさんが作中の男性について「野暮も突き通せば粋」と評したことが強く印象に残っているそうだ。

メニューにない“1杯の水”が映し出すもの


ゐさんはほかにも、推し活や恋活、婚活、美容といった現代的なテーマを扱い、日常のふとした違和感や「あるある」を漫画にしている。女性向けの話題が多いが、中には「理想の陰キャ君と、現実の陰キャ」のように男性読者から熱い支持を受ける作品もあり、「性別を問わず楽しんでほしい」と語っている。

「水はタダ」という日本の常識も、場所が変われば通用しないことがある。ゐさんの作品は、そうした学校では教えてくれない「大人の常識」や、その場の空気をどう読むかという問題を、ユーモアと少しの毒を交えて可視化してくれる。

『水でいいです』が描いたのは、たかが水の話ではない。その1杯をどう扱うかに、「自分がその場をどう楽しみたいか」「誰との時間を大切にしたいか」という価値観が映し出されているのかもしれない。

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取材協力:ゐ(@irk_hrk)
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■ゐ(@irk_hrk)
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情報は2025年12月12日 04:30時点のものです。おでかけの際はご注意ください。

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